柔術の地方大会の出場にむけて減量を行いました。当時私が住んでいた地方の大会では、軽量級の選手は充実しているのですが、重量級は選手が充実していませんでした。
場合によっては重量級の試合が無くなってしまう可能性があるため減量が必要でした。
柔術のための減量計画
減量した具体的な数字ですが、3カ月で12キロの減量が必要でした。学生時代には減量の方法が分からず、無理な食事制限をすることで、精神的にも肉体的にも非常に苦しんだ経験がありました。
今回そのような減量にならないためにも、減量のプロであるボディビルダーの知人に効率的な減量方法を聞き、それを実践することにしました。
減量で水抜きを採用しない理由
試合の計量は当日に行われるため、水抜きでの減量は採用しませんでした。
なぜなら、水抜きをしてしまうと、体内のミネラル分が無くなることで当日のパフォーマンスに大きく影響してしまうからです。また、無理な水抜きは脱水症状を引き起こす危険性があるのも理由のひとつです。
ボディビルに学ぶ減量方法
そこで、3カ月間で体脂肪を大きく落としながら、筋肉量を維持することを目標として減量計画を立てました。
まず初めに行ったのが、カロリーの調整です。すべての栄養素を極端に制限してしまうと、パフォーマンスに大きく影響してしまうため、1日のカロリーを2000キロカロリーに抑えました。
次に摂取するカロリーの内訳を変更しました。つまり、3大栄養素のバランスを意識した食事の摂取です。具体的には、1日に目標とする体重の数字の2倍のたんぱく質量(g)を確保しながら、脂質を抑えつつ残りを炭水化物の摂取にあてる方法です。
また、脂質は抑えますが、摂取する油を魚やナッツといった質のよいものに変更しました。この方法を採用すれば、練習のパフォーマンスを維持しながらの減量が可能となります。
摂取カロリーを段階的に下げていく
最後に行ったのが段階的なカロリーの制限です。カロリーを制限していけば、体にはホメオスタシス(恒常性)が働くので、制限されたカロリーで生きられるよう代謝を下げてしまいます。
これによって体重が落ちなくなってしまうので、初めは前述の2000キロカロリーから始め、体重の減少が止まれば次は1800キロカロリーに抑えるといったように体への負担を考慮し、段階的にカロリーを抑えていきました。
しかし、カロリーは抑えるといってもたんぱく質の量は前述のとおり体重の数字の2倍(g)を確保することを意識しました。
停滞したらチートデイで代謝アップ
この減量方法を続けることで、2カ月で10kgを落とすことができましたが、残りの2kgが中々落ちませんでした。代謝が下がりすぎたことで体重が落ちなくなっているのです。
そこで私は、1日だけ炭水化物をドカ食いする日を設けました。いわゆるチートデイという日です。代謝が下がっているところにわざと大量の栄養素を送り込むことで、体に飢餓状態ではないと勘違いをさせて代謝を上げる方法です。
この日には、炊いた後のお米を2kg食べました。これによって肉体的な疲労と共に、低カロリー生活を続けていたことによる精神的な疲労も回復することができました。その結果、チートデイ後の2日間は体重が2kg増えましたが3日目には4kg落ち、試合2週間前に目標体重に到達しました。
試合直前はグリコーゲンの回復を重視
残りの日はこの体重をキープしながら過ごし、試合2日前からすべての食事を消化の遅い炭水化物に変えました。
体内のグリコーゲンの回復を図るためです。今回の減量によって、筋肉量やパフォーマンスを維持しながら、減量をすることができました。
柔道を練習していた学生時代は、食事を極端に抑えて無理な減量をすることで、練習中に貧血で倒れてしまった経験があました。
しかし、現在はしっかりと栄養の計算をして長期的な減量計画を立てることで、健康にも害がなく、パフォーマンスも維持ができるという最高の結果になりました。
(文・グルジアの孤高の柔術家)