私は伝統派空手を小学2年生の時に始めました。伝統派空手はいわゆる寸止めで相手からポイントを取る競技です。
そこで重要なのはパワーよりもスピードだと思っています。
スピードが求められる伝統派空手
伝統派空手の競技は、コントロールされた有効打によってポイントを獲得していくルールです。K-1のように相手をノックアウトするのは反則。なのでいかに早く相手に打ち込むかが重要になってきます。
もちろん相手との間合いや技を出すタイミングなどいろいろ大切な要素があります。ですが、技を出してからのスピードが遅かったらどんなにタイミングが良くても相手に反応されて避けられてしまいます。
当時、私が先輩から組手でポイントを取れないのは技のスピードが遅いからだと思っていました。特に蹴り技のスピードが遅いと感じていました。
突きであれば少ない動作でスッと出すことができますが、蹴り技になると動作が大きくなりやすいため遅くなります。
蹴り技のスピードアップが先輩からポイントを取るために必要なことでした。
まず蹴り技を出すまでには2つの動作があると思っています。
- 蹴り上げる動作
- 蹴りを打ち込む動作
この2つの動作をそれぞれ分け、スピードアップのための練習を行うのが効果的でした。
蹴り上げる動作の練習方法
左構えの場合、右足が後ろになっています。
その右足を上げる動作を早くするためには2つのことを意識する必要があると思っています。
1つは地面を蹴る意識。もう1つは足を引き上げる意識。これらを意識して練習していきます。
地面を蹴る意識
これは後ろ足で地面を蹴る動作だけを延々と練習します。
意識して地面を蹴る。この時は足を上げる必要はありません。ひたすら地面を蹴る。蹴りを出すときに地面を蹴る意識は意外とできていません。
なので地面を蹴る意識を頭に埋め込むためにも、単純な動作を繰り返し練習する必要があります。
足を引き上げる意識
地面を蹴ると勝手に足が上がるわけではありません。なので、地面を蹴った後はその力を利用して足を一気に引き上げる意識が必要です。
ここで、地面を蹴らずに足を引き上げる場合と、地面を蹴って足を引き上げる練習をして違いを知ることが重要です。
この練習をすることで、どの力が地面を蹴って発生した力なのかよく分かります。地面を蹴って発生した力の感覚を意識して足を引き上げる練習をします。さらにここで意識して欲しいのが、スピードです。
早く足を上げる。地面を蹴って、早く足を上げる。この練習を繰り返し繰り返し練習していきます。
蹴りを打ち込む動作の練習方法
この動作は足を引き上げた後の動作になります。このとき重要になるのは膝から先です。膝から先の動作を早くする練習をします。
まず、足が地面に着かない台の上に座ります。その状態で膝から先をパチンと伸ばします。伸ばしっぱなしではなく、折り畳む動作まで素早く行います。
この動作に慣れてきたら、次は重りを足につけて同じ動作を行います。
そして重りを外してまた同じ動作を行い、足が軽くなってスピードアップした感覚を覚えていきます。これを繰り返します。
やり過ぎて膝を怪我しないように
ここで注意点があります。この練習は怪我をしやすいです。膝に大きな負担がかかるからです。
足に重りをつけているので非常に大きな負担になります。この練習のやりすぎには注意してください。私の感覚としては5回重り無し・5回重り有り、を合計3セットくらいでも良いと思います。
最後に蹴りを出すための2つの動作を繋げて完成です。それぞれ分けて練習してきているので、最初は違和感があるかもしれません。
ですがそれぞれの動作で大切なことを意識して繋げることで格段にスピードアップをすることができます。
蹴りが警戒されると突きが決まりやすい
このような練習を行うことで蹴りが格段にスピードアップしました。それは自分自身でも分かりましたし、組手をしていた先輩からも「蹴りが早くなっている」と言われました。
蹴り技がスピードアップしたことで、相手は蹴り技を警戒してくれますので、突きでポイントが入りやすくなりました。
相手からしたら、今までは蹴りは特に意識しなくても動作に反応してガードすればよかったのが、動作する前に蹴りを予測しなくてはいけなくっています。このように蹴りを意識せざるを得ないところにスッと突きが来ると対応できずにこちらのポイントが入ります。
蹴り技をスピードアップすることで、技の数は同じでも有効な攻撃のバリエーションを増やすことができます。怪我には十分気をつけて練習してください。