私は最初、高校で部活動に入部する気は全くなかったのですが、友達に弓道部を見に行きたいと誘われてついて行きました。
先輩方が弓を引いている姿がかっこよすぎて、自分もいつかああなりたい!と思うようになり、入部しました。
弓道女子が県大会に出場
そして時は過ぎ、高校2年生の秋ごろの県大会。この頃は調子がかなり良く、先輩の成績も抜かし、絶好調だったのです。
県大会では、個人戦・団体戦両方ともかなり良い成績を出しました。弓道の良い成績ってどれくらいなの?そもそも弓道ってどういうルールなの?と疑問に感じた人もいると思うので、説明します。
弓道のルール
弓道のルールは、1回1人4本まで弓を引くことができ、的に的中すればいいだけです。
的の中心に近いほうがいいといったアーチェリー的要素はありません。だた的にさえ中(あた)ればいいのです。4本中何本が的に的中したかで勝負が決まります。
団体戦は5人制でこれも1人4本です。合計的中率でこちらも勝負が決まります。
三位決定戦での射詰
話を戻すと、その秋ごろの県大会で私は3位決定戦までいきました。同じ的中数のため、射詰とよばれる一射ずつ矢を放ち、外したら除かれ、的中した人は次の一射を行い、最終的に残った人が勝ち、といった勝負をします。
この射詰を行い、お互い一本も譲らず、10本ほどずっと射詰をしていました。見ていた観客席の人もただならぬ緊張感で私の真正面でみている審査員の先生方にも緊張の糸が張っていました。
なぜこれほどまで、お互い譲らなかったというと、3位以内なら次の大きな大会の出場権を獲得できるからです。
遠近競射に移行
では、具体的にどのような試合だったのかを説明します。
10本射詰をやっても決まらない私たち。審査員の先生方が射詰をやめ、遠近競射と呼ばれる方法に変更しました。
遠近競射とは、順々に同じ的に矢を放ち的の中心に近いほうが勝ちという方法です。
いたってシンプルですが、これもまた射詰とは違う緊張感があります。
遠近競射が始まりました。私は後攻だったので、相手が先に弓を引くのを待ちます。もちろん、相手も的に中てました。中心からの距離を私はあんまり見ないようにしていました。
何も考えずに無心になること
なぜかというと、そこで的を見ていたら、おそらく余計に「中てなきゃ!!」という焦燥感にかられてしまい、外すと思ったらです。
弓道で大事なのは「無心になること」です。この意味からももう、何も考えずに今まで通りの弓を引こうと決意します。
私の番です。みんなが見ています。私も的中させました。お互いの距離はもう分からなかったです。審査員の方が矢を回収し、結果発表。
なんと、私の方が的の中心に近かったのです! もう嬉しくて嬉しくてたまりませんでした。
長時間勝負をしてくれた相手に感謝
ですが、ここは長時間勝負をしてくれた相手の方への敬意も払い、喜びも見せずに試合が終わりました。
試合後は、あれだけ戦い合った方なので、感謝の気持ちで挨拶をしました。そのとき私は、勝負ってただの勝ち負けの結果だけではなく、勝負をしている過程がものすごく大事なんだなと思いました。
結果にばかりとらわれず、大会までの練習をもっと一生懸命にやる必要があると改めて考えさせられた試合でした。
この試合が心に残っている理由はやはり、長時間の緊張感あるものだったからですね。
普通の練習試合とは違い、大勢の人達が私たちのことを見ていると考えるとそれだけで緊張するのに、次の大事な大会への出場権がかかっていると思うともう心臓バクバクでした。